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矯正治療では歯を抜かなくてはいけないの?
矯正治療は大きく分けて次の二つに分類できます。
(1)抜歯矯正
歯を何本か抜いて(一般的には4番目の歯が多い)スペースをつくり、歯を並べていく方法。
(2)非抜歯矯正
歯を抜かずに、あごを広げてスペースをつくり、歯を並べていく方法。一般的には取り外しのできる装置(床矯正装置)を使います。
これからご紹介する床矯正は、基本的には〈非抜歯矯正〉です。正しい位置に歯が並ばないのは、あごが小さくなったのが大きな原因の一つです。床矯正では、歯を抜くのではなく、小さいあごを拡大して本来の大きさにし、歯を動かしていきます。
もちろん、成人の方の場合は特に、歯を抜かざるを得ない場合もあります。しかし、幼いうちに治療を始めることができれば、ほとんどの場合、歯を抜かずに済みます。
抜いてしまった歯を元に戻す術はなく、人間の体には無駄な部分などありません。歯並びを整えるためとはいえ、体の一部を失うことによる損失は、はかり知れないものがあります。当院は、できるだけマイナスを少なくしてプラスを得ることを考えています。
床矯正(しょうきょうせい)の利点・欠点は?
床矯正とは、取り外し式の装置を使ってあごを広げ、歯を動かしていく矯正治療です。床矯正治療には、次のような利点・欠点があります。
利点
- 取り外しができるため、治療中だと気づかれにくい。
- 取り外しして歯磨きができるため、むし歯になりにくい。
- 弱い力をかけて歯を動かしていくため、痛みが出にくい。
- 抜歯せずに歯並びの改善が期待できる。
欠点
装着しないと治療が進まない。
器具が当たる箇所に口内炎ができたり、歯が動くことによって多少の痛みが出ることがある。
院長が床矯正を手がけるようになった理由
写真のように、小学生低学年で、前歯が内側から生えてきたお子さまが来院されたとします。院長が開院したばかりの頃は、永久歯が生えそろうまで様子を見ていました。しかし歯並びがよくなるお子さまはほとんどおらず、大部分のお子さまは歯並びがさらに悪くなっていきました。
そして、矯正治療をするために歯を抜かざるを得なくなったり、高額な治療費に矯正治療をあきらめる親御さまもいたりという状況でした。院長自身「歯並びが自然とよくなることはほとんどないのに、永久歯が生えそろうまで様子を見ていていいのだろうか?」自問自答する日々が続いていました。
そんな時、床矯正について書かれた1冊の本と出会ったのです。そこには早期に矯正を始めることによって、シンプルな治療で済んだ例がたくさん載っていて、「私の求めていたものはこれだ」と直感しました。
それ以降、院長は夢中で床矯正の勉強をしました。そして、床矯正治療の利点を実感し、当院でも始めるに至りました。治療を始めてその奥深さを知り、今でも勉強を続けています。
いつから治療を始めればいいでしょうか?
お子さまの前歯が、斜めに生えてくることがあります。
そのまま様子を見ていると、歯並びはさらに悪化することが予想されます。そして、悪化したことで、治療期間や費用のご負担が大きくなります。
当院では、ほとんどの場合、永久歯の前歯が生えてくる6~8歳から治療を始めます。犬歯が生える10歳までに終われば、シンプルな処置で済むことが多いからです。犬歯が生えてしまうと、必要な装置の数が増え、それだけ費用も大きくなります。
そのため、できるだけ早く治療を始めたほうがいいでしょう。早いうちに治療を始めれば、装置の数が少なくて済みます。
「おかしい」と思った時が、治療の開始時期です。ただ様子を見ているだけでは、歯並びはよくなりません。ボヤも放っておくと大火になります。火事はボヤのうちに消すべきなのです。
治療費について
通常、矯正治療には保険が適用されず、経済的なご負担が大きくなります。実際、その費用がネックになって、矯正治療をあきらめる方もおられました。
当院で行っている床矯正治療は、早期に治療を始めることによって、使う装置が少なくて済みます。使う装置の数によって金額が変わるので、装置の数が少ないと経済的負担も軽くなります。
一般的に、犬歯が生える10歳くらいまでに治療を終えられれば、1~4個の装置で済むでしょう。犬歯が生えてからも治療が必要な場合は4~6個、場合によってはそれ以上の装置が必要です。
歯並びの問題の程度がそれほどでもなく、早期に治療を始めることができたお子さまなら、11万円(税込)程で治療を終えられることもあります。たくさん装置が必要になったとしても、100万円もかかることはありません。
当院では、装置の数と治療費が少なくて済むよう、できるだけ早期の治療開始を呼びかけています。
床矯正治療のQ&A
Q.どのような装置を使うのですか?
A.装置にねじがついていますので、ご家庭で週に2回ねじを回していただきます。ねじを回すことによって装置が広がり、あごを拡大しつつ歯を動かしていきます。
Q.装置はいつ装着するのですか?
A.日に14時間以上装置をつけることができるなら、いつでもかまいません。ご家庭だけで時間が足りなければ、学校や職場につけていく必要があります。しかし、くっきりと発音しないといけない場面では外しても大丈夫です。体調不良などで装着できない期間ができると、後戻りして入りにくくなる場合があります。そういった時は、ねじを巻き戻せば使用可能です。
Q.痛みはありませんか?
A.弱い力で歯を動かしていくので、痛みはほとんどありません。装置が歯茎に当たって痛む場合は、装置を削れば改善します。
Q.あごを拡大したら、ゴリラのような顔立ちになりませんか?
A.歯が正しく並ばないのは、大きな原因の一つとしてあごが小さくなったことが挙げられます。そして、小さいあごを本来の形にするのが、拡大の目的です。歯並びが整っている人は、ゴリラのような輪郭をしているでしょうか。あごを正常な状態に戻すだけなので、ゴリラみたいになることはありません。